医療現場の現状と諸問題を考える

医療機関で支払う初診料と自己負担の上限

医療機関に始めてかかるときの基本料金が「初診料」です。2006年までは診療所の方が高く設定されましたが、現在では病院も診療所も同じ270点(1点10円=2700円)になりました。急病で時間外や休日、深夜に受診した場合にはこれに割増料金が加算されます。

200床以上の病院に紹介状なしで受診すると、初診料とは別に「特定療養費制度」に基づき病院が独自に定めた金額を別途請求されることがあります。これは医療機関の役割分担の一環として、普段は近所のかかりつけ医に通院して、大きな病院での治療が必要なときだけ。紹介状を書いてもらいましょう、ということです。

患者さんは、医療費の一部を医療機関の窓口で支払いますが、その負担率は、3歳未満で2割、一般が3割、70歳以上の高齢者で1割(現役並み所得者は3割)となっています。

この自己負担には月ごとの上限が設定されています(高額療養費制度)。例えば一般的な所得がある方の場合、月の自己負担額が8万1000円+一定額限度超過分の1%となります。これを超えた分は、保険証の発行先で手続きを行えば戻ってきます。

なお、2006年4月からは大まかな項目ごとの明細を記した領収書の発行が義務化されています。受け取った領収書の明細をまず確認して、分からないことは質問することから医療費に関心をもたれるとよいと思います。

開業医と勤務医の所得格差が1.7倍という新聞記事を読んだ方は、すべての開業医が高額所得者であると思うかもしれませんが、淘汰の動きが来年にもやってくるとされています。

そのきっかけとなるのが、2010年度から始まるレセプト(診療報酬明細書)のオンライン請求義務化です。事務の効率化を目的に、従来の紙ベースでの申請が原則認められなくなることにより、コンピュータ投資に対応できない診療所の廃業が進むと危惧されています。

特に高齢の医師や過疎地の診療所ほど事情は深刻で、地域医療の機器に直結する可能性も取り沙汰されています。10年前はWHOから世界一のお墨付きを与えられた、日本の医療システムは長年の制度疲労によって、各所でひずみが出てきています。

生まれてくる赤ちゃんが将来、白血病や悪性リンパ腫など骨髄の移植を必要する病気になった場合に備えて、臍帯血バンクで臍帯血の保存を行い、治療の役に立てたいと考える妊婦さんが増えています。

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