医療現場の現状と諸問題を考える

医療訴訟へのリスクが勤務医の負担を高めています

コストや技術が反映されない診療報酬、質のバラつきが指摘される専門医制度、医療保険料の格差など、日本の医療が抱える問題は数え切れないほどありますが、私が医師から直接聞く機会の多い問題は医療訴訟についてです。医療は不確実なものであり、いまだに未完成の分野にも関わらず、医療知識の無い弁護士が、勝手な思い込みだけで訴訟を起こしたり、裁判官が判決を下している現状に不満が一杯のようです。

医療を行ううえで予測不可能なことを当然起こりえます。そして医師は短い時間で決断を下さなければなりません。にもかかわらず、結果だけを見て訴訟が起き、更には司法が判断することに矛盾は無いのでしょうか? また、治療がうまく行かないと、訴訟になる危険性をはらんでいることが大きな問題です。その結果、病院は患者から同意書を取ることなどに力を入れ、書類仕事ばかりがどんどん増えていきます。

医療訴訟や医療事故の免責法案を策定することが、真の意味での医療再生となる意見もあります。医師の数が減ったからではなく、医師が訴訟リスクなどを避けて高度な医療の現場から立ち去るケースが増えたことで、医療崩壊を招いたという考え方です。医師だけではなく看護師の過重労働も問題で、特に中小の病院では、切迫流産になりかけている状態で仕事をしている看護師もいて、見ているとつらくなります。

医師が職務上相当な注意を怠ったため、医療行為により患者に障害が発生し、損害賠償請求を提起された場合、医師が負担する法律上の賠償責任を補償する医師の保険を医師賠償責任保険といいます。医療の高度化や複雑化、患者の意識の変化などにより、医師の訴訟リスクは高まっており、勤務医は保険に加入しておいたほうが無難です。

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