医療現場の現状と諸問題を考える

当直明けの長時間勤務など、過酷な医師の労働環境は人員不足の原因に

つい最近まで日本では医師は労働者とは考えられておらず、聖職者と見なされる傾向が強かったため、労働法によって心身の健康を守らなければならないという発想はありませんでした。しかし、医師も人間であり、憲法で定められた国民としての基本的人権や健康で文化的な生活を送る権利があります。

何人も健康を害するような過酷な労働を医師に強制する権利はありません。更に勤務医は明らかに雇用された労働者ですから、労働基準法によってその労働条件が守られるべきです。先進国において、これほど整っていない労働条件のもとで働かせられている勤務医は日本だけではないでしょうか?

ヨーロッパでは、医師の労働組合の運動において長い歴史と実績があり今日に至っています。EUの基準では、オンコールを含めて、週48時間労働となっています。この時間を獲得する理由として衣料の安全性の問題を掲げています。

医師不足による労働環境の問題と医療の安全性の問題を、社会的に解決する努力を怠ってきた日本の医療には一定の責任があるのではないでしょうか?発展途上国であればいざ知らず、日本のような経済大国で、政策的に作られた医師不足を聖職論による医師の自己犠牲でカバーすることは本末転倒です。

女性にとって、長期的にキャリアを考えると必ず出てくるのが、結婚や出産後などのライフイベントです。医師の場合、一般に恋愛に一番適しているといわれる年代を臨床研修後の病院で日夜働いていますので、結婚は大変なうえ、医療現場を長期間はなれるのも不安があります。

民間の大手企業なら、育児休業や家族のために休みが取れるファミリーサポート休暇などの育児支援策を打ち出しているところがあります。また、全社員を対象に自宅で仕事が出来る在宅勤務制度の整備を進めている企業も少なくありません。

妊娠期で通勤が大変な方や、小さいお子さんを一人で留守番させておくことに不安を抱く方など、働き続けるのが難しいのではないか、と悩んでいた方に好評を得ています。例え結婚や出産をしていていない方でも、ワークライフバランスを考えるうえで、必要だと思えば利用は可能です。

医師の総数に占める女性の割合はこの10年で急速に高まりましたが、女性医師が働き続けられる環境を整えるには、医療機関の本気の取り組みとしばしの時間が必要でしょう。

病院や診療所が外部に表示することのできる診療科目名が標榜科です。日本では法律上、麻酔科を除くすべての診療科における医療行為を行なうことができるとされています。そのため、医療法で定められた診療科のうち、どれを標榜して開業してもよいことになっています。

この場合、医師が専門とする診療科と標榜する診療科が必ずしも一致しないことがあるため、病院や診療所を探している患者の側から見ると、医師の専門性がわかりずらいという欠点があります。診療所の場合、一般的に最初に掲げている科がその医師が最も専門とする分野と考えていいでしょう。

2002年からは看板や電話帳などに、「循環器専門医」、「腎臓専門医」などと、専門医であることを書いてよいことになったので、それらを見ると専門が分かりやすいでしょう。医学生として6年の後、病院で研修医として忙しい日々を送るため、結婚は看護師や薬剤師など他の医療系職業に比べて大変です。

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